使い方ガイド
- ゲル1枚の容量を mL で、目標のゲル濃度を入れます。ここでのゲル濃度は容量あたりの重量なので、1% は緩衝液 100 mL にアガロース 1 g という意味です。
- 2枚以上作る場合は枚数を増やしてください。容量と質量がそろって増えます。
- 手元にある泳動用緩衝液の原液を選びます。50× TAE・10× TBE・5× TBE を用意してあります。それ以外は倍率をご自分で入れてください。
- 染色試薬の原液の倍率を入れると、その量も出ます。染色試薬は水の分を置き換える形で入るため、全量は指定したままです。
- 断片の大きさを bp で入れると、それを分離できるゲル濃度が下の表に印されます。
計算式と注意点
アガロースゲルは孔の大きさで DNA をふるい分けます。アガロースが多いほど孔が細かくなり小さい断片をよく分離でき、少ないほど孔が開いて大きい断片が動けます。「何%にすればよいか」に答えるのが式ではなく表なのは、そのためです。
計算
4行です。全量はゲル1枚の容量に枚数を掛けたものです。
- アガロース (g)
- 目標のゲル濃度 (%) ÷ 100 × 全量 (mL)
- 緩衝液の原液 (mL)
- 全量 ÷ 原液の倍率
- 染色試薬 (μL)
- 全量 ÷ 染色試薬の倍率 × 1000
- 水 (mL)
- 全量 − 緩衝液の原液 − 染色試薬
注意点
- エチジウムブロマイド (EtBr) は変異原性が疑われています。手袋を着け、ゲル・泳動用緩衝液・コーム・トレイはいずれも汚染されたものとして扱ってください。ゲルに混ぜ込む方法は手軽ですが、泳動槽を汚染し、直鎖状 DNA の移動を約 15% 遅らせます。泳動後に染色すれば使用量が減り、槽もきれいに保てます。
- EtBr の濃度としてよく挙げられるのは終濃度 0.5 μg/mL です。この計算ツールは既定の染色試薬をあえて用意していません。お手元のボトルに書かれている倍率を入れてください。
- TAE は TBE より緩衝能が低く、長時間の泳動では先に消耗します。TBE のほうがバンドが鋭く、とくに 1 kb 以下で勧められますが、ホウ酸イオンが糖と錯体をつくるため、ゲルから DNA を回収しにくくなります。切り出して精製するつもりのゲルには TAE のほうが扱いやすい選択です。
- 高純度のアガロースを使ってください。多糖・塩・タンパク質はいずれも移動をゆがめ、その影響はゲル濃度が高いほど大きくなります。
- これは容量と質量の計算です。ゲルが実際に何を分離できるかは電圧・泳動時間・装置にもよるため、表の範囲は出発点として扱ってください。
よくある質問
見たい断片によります。大きさを bp で入れると、それを含むゲル濃度が表に印されます。目安としては、10 kb を超える大きな断片は 0.5〜0.7%、0.5〜10 kb の通常の PCR 産物は 1%、1 kb 未満は 1.5〜2% です。
容量あたりの重量 (w/v) です。1% のゲルは緩衝液 100 mL にアガロース 1 g で、この計算ツールが計算しているのもそれです。
使えます。原液を変えると量り取る原液の量が変わるだけで、秤量するアガロースの量は変わりません。TBE を 10× ではなく 5× で置いている実験室もあるため、3つとも用意しています。それ以外の倍率はご自分で入れてください。
アガロースが溶けて、手で持てるくらいまで冷めてから、流し込む直前に加えます。沸騰したアガロースに加えると染色試薬が壊れ、蒸気とともに飛びます。
いちばん近い行で答え、そうしたことをお知らせします。0.3〜2.0% の外では範囲をまったく出しません。推測で穴を埋めることはしないためです。