このサイトについて
Lab-Tacular(ラボタキュラー)は、ブラウザの中だけで動く実験用の計算ツール集です。
希釈倍率を出す、モル濃度を計算する、検量線を当てはめる、精度管理のデータを評価する — どれも実験室の日々の仕事です。多くの人は、自分で組んだ表計算の式で片づけるか、古びたウェブツールをいくつも行き来しています。単位を入れる場所を間違えたり、あるツールから次のツールへ数値を書き写すときに打ち間違えたりします。
このサイトは、それを減らすためにあります。
サイト名の Lab-Tacular は、ラボ(研究室)を意味する lab と、「見事な」という意味の spectacular を組み合わせた造語です。
このサイトの考え方
計算はすべてブラウザの中で行われます。
入力したものがサーバーに送られることはありません。データベースもアカウントの仕組みもありません。実験の測定値や精度管理の記録は、手元の端末から出るべき値ではないからです。
計算式には、その根拠が付いています。
どのツールのページにも、計算ツールそのもの以上のものが載っています。なぜその式が成り立つのか、実際に何に気をつけるのか、です。ただ受け取る答えより、自分で判断できる答えのほうが役に立ちます。
ツールは合否を判定しません。
純度比や変動係数は参考範囲とともに表示しますが、このサイトが結果に合格・不合格の印を付けることはありません。その基準は各施設と測定法によって決まるもので、定めるのは使う人の側です。
作った人
J. Chang
生命工学 学士
体外診断用医療機器ソフトウェアの検証担当
体外診断用医療機器のソフトウェア検証を仕事にしています。 計算が正しい答えを返すかどうかを確かめるのが本業で、これらのツールも同じやり方で作りました。 どの計算も、手で計算した期待値に対する自動テストを通してから公開しています。
これは個人のプロジェクトで、勤務先とは関係なく個人として作り、運営しています。
検証の方法
Lab-Tacular(ラボタキュラー)は、公開前に2種類の検証を行っています。
第一に、コードの整合性を確認します。計算ロジックごとに自動テストが付いており、その数は現在、90余りのファイルにわたって2,300件を超えています。コードを修正するたびに検証をやり直し、1件でも失敗すれば公開されません。
第二に、学術資料・文献・公式資料などの外部の出典と照合します。照合の一覧は下の表のとおりで、表にないツールは定義式(C₁V₁ = C₂V₂ など)で自明なため、検証を省いています。
| ツール | 照合先 | 照合した範囲 |
|---|---|---|
| 分子量計算機 | IUPAC「Standard atomic weights of the elements 2021」(Pure Appl. Chem., doi 10.1515/pac-2019-0603) | 省略標準原子量の表全体 |
| ELISA・IC50・ミカエリス–メンテン | NIST StRD 非線形回帰の認証データセット Misra1a・Rat42・MGH09 | 認証パラメータを7〜11桁(Misra1a 11・Rat42 9・MGH09 7)、標準誤差を6〜9桁まで再現。Rat42 と MGH09 は NIST が高難度に分類した問題です |
| 外れ値検定 (Grubbs・Dixon の Q) | NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods 1.3.5.17(Grubbs)・Rorabacher 1991, Anal. Chem. 63:139(Dixon の Q) | Grubbs の臨界値10個(n = 3–20)と掲載例・Dixon の Q の臨界値24個 |
| 単位換算(圧力・温度・エネルギー) | NIST SP 811・ISO 80000-4・ISO 80000-5・CODATA 2022 | 定義値と推奨値 |
| RCF ↔ RPM 換算・ローター一覧 | メーカー7社(Thermo・Beckman Coulter・Hettich・Sigma・Sartorius・OHAUS・CRYSTE)が公開しているローター仕様書、ローター103個 | 仕様書に印刷された最大・最小 RCF 124件。不一致0件 |
| サンプルサイズ計算ツール | 韓国 食品医薬品安全処「体外診断医療機器 臨床的性能試験ガイドライン」(안내서-0640-03、2020) | 掲載例(推定 0.80・下限 0.70・検出力 90 % → 168)を再現。正確法の下限は任意精度(mpmath 60桁)で作った基準値199点と照合 |
| 2×2表の診断精度・ROC 曲線 | MedCalc「Diagnostic test evaluation」の出力(2×2)・DeLong, DeLong & Clarke-Pearson 1988 の定義式(ROC) | 2×2 は8つの値と信頼区間を小数第2位まで、ROC は定義から手で導いた小標本3件を15桁まで。基準値ファイルに固定 |
| プライマー Tm値・プライマーダイマー | SantaLucia 1998 (doi 10.1073/pnas.95.4.1460)・von Ahsen 2001, 2011・Green & Sambrook 2019 | nearest neighbor 法のパラメータと塩補正を原著で確認 |
| 制限酵素の切断地図 | New England Biolabs の認識配列データ | 自動生成。手では修正しません |
| タンパク質パラメータ計算ツール | Kyte & Doolittle 1982・IUPAC 2021・ExPASy ProtParam | 疎水性指標、原子量、計算結果の照合 |
| SDS-PAGE ゲル | Bio-Rad Mini-PROTEAN Tetra Cell マニュアル・Proteintech「SDS-PAGE Gel Recipes」 | レシピ表・カセット容量表・分離範囲表 |
各ツールのページの「参考文献」の節に、そのツールの照合先を個別に記しています。この表はそれを一か所に集めたものです。
検証の誤りと訂正の記録
検証を経ても、ヒューマンエラーで見落とす部分はあり得ます。以下はその記録です。
(1) RCF ↔ RPM 換算ツールが 2026年7月26日から8月18日までの23日間、10倍違う値を出していました。
遠心力の式 RCF = 1.118 × 10⁻⁵ × r × RPM² の定数 1.118 × 10⁻⁵ は、半径 r をセンチメートルで入れるときの値です。ラボタキュラーの入力欄はミリメートルで、ミリメートルなら定数は 1.118 × 10⁻⁶ でなければなりません。教科書の値を単位を確認せずに書き写し、その結果、すべての値が10倍大きくなっていました。
23日間、自動テストでもこの誤りは捕まえられませんでした。このツールに機能を追加している途中でメーカーの公式資料を参照し(自らの整合性検証ではなく、外部資料の参照によって)、この部分の誤りに気づいて修正しました。
この誤りの修正後、改善した点は次のとおりです。
- 定数を 1.118 × 10⁻⁶ に正しました。(2026年8月18日)
- メーカーが印刷した RCF 値に計算値を固定するテストを追加しました。定数が間違っていればこのテストが失敗します。
- ページの説明文の定数とコードの定数を照合するテストを4言語すべてに追加しました。(2026年8月20日)文章とコードが食い違えば失敗します。
この件以降、ラボタキュラーは、既存のツールと新たに追加・公開する機能について、外部検証が可能な場合はそれを行ってから公開します。
扱う範囲と限界
このサイトのツールは、研究および実験室での計算を支えることを目的としています。
- 医療上の診断や治療の判断のために作られたものではありません
- 患者情報を入力する仕組みはなく、入力すべきでもありません
- 規制対象の医療機器ではなく、そのための検証も受けていません
- 結果を確かめる最終的な責任は、使う人にあります
各施設の標準作業手順書がここでの説明と異なる場合は、手順書に従ってください。
誤りを見つけたら
計算式が間違っている、注意点が実際のやり方と合っていない、といったことがあればお知らせください。確認して直します。
お問い合わせ: contact@lab-tacular.com